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ドイツが手放した才能、今やセルビアとアタランタの主力に
ドイツ生まれのラザール・サマルジッチが、アタランタとセルビア代表の両方で輝きを放ち始めている。ユリッチ監督の新体制で確固たる地位を築いた23歳は、2試合連続ゴール中。かつてはベンチ要員だった男が、今や“10番”として攻撃の中心を担う存在へと成長を遂げた。
ガスペリーニ時代の苦悩、限られた出場時間
2024年夏にウディネーゼから加入した当初、サマルジッチはガスペリーニの下で多くの時間をベンチで過ごした。昨季42試合に出場したが、そのうち31試合が途中出場。それでも5ゴール3アシストと、限られた時間で結果を残していた。
代表では2025年3月にセルビアで初ゴールをマーク。「もっと出場時間が欲しい」と発言したサマルジッチに対し、ガスペリーニは「まずはクラブでも得点してみろ」と応じたエピソードもある。
ドイツではなくセルビアを選んだ理由
ドイツ代表の各年代別チームでプレーしてきたサマルジッチだが、2023年2月、21歳でセルビア代表を選択。両親のルーツを尊重し、ストイコビッチ監督の熱心な勧誘に応じた。ストイコビッチは彼を説得するため、2022年の開幕戦ミラン対ウディネーゼをサン・シーロで視察するほどの入れ込みようだった。
現在までに22試合に出場し、今ではセルビア代表の攻撃を担う重要なピースとなっている。
ユリッチの信頼をつかみ、完全復活へ
今季からチームを率いるユリッチは、サマルジッチを「攻撃の核」と位置づけ、パサリッチではなく純粋なアタッカーとして起用。3トップの一角、あるいはトップ下としてコンスタントに出場を重ねている。
その期待に応えるように、ここまで7試合で2ゴール1アシストを記録。チャンピオンズリーグのブルージュ戦では反撃の狼煙となる得点を決め、コモ戦でも続けざまにネットを揺らした。プレースキックでも鋭さを発揮し、ユリッチ体制で欠かせない存在となっている。
“呪われた10番”を継承、アタランタの新たな象徴へ
この夏、背番号24から10番へと変更。かつてパプ・ゴメスが背負い、その後は誰も定着できなかった番号だ。ボガ、エル・ビラル・トゥーレと続いた“10番不在”の時代に終止符を打つべく、サマルジッチは責任を背負う覚悟でこの番号を選んだ。
冷静な左足と強いメンタリティを武器に、アタランタを前線から牽引する姿は頼もしさすら漂う。今季こそ、自らの才能を完全に開花させるシーズンになるかもしれない。



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