その過程で台頭してきたのがケナン・ユルディズだ。アントニオ・ディ・ナターレ、トッティ、イカルディ、オシムヘンといった系譜に連なる「スパレッティのプロジェクト」の最新例とも言える存在で、指揮官はこのトルコ代表を「エイリアン」と表現している。だが、我慢の効かない環境でその才能を育て上げられるかは、今後の大きな試金石となる。
スパレッティはイタリアの指導者の中でも異色の存在だ。表現力、プレッシング、主導権を握る構造を重視する哲学は、コンテやアッレグリ時代のユベントスを象徴した守備的リアリズムとは対照的だ。このスタイル転換をトリノで根付かせることは、彼のキャリアでも屈指の難題と言える。
ナポリの優勝チームはその哲学を体現していた。リーグ最多得点を記録しながら、同時に最少失点も達成。キム・ミンジェは最優秀DFに選ばれた。現在のユベントスにもその兆しは見える。カンビアーゾ、ロイド・ケリー、ブレーメル、カルルで固定された最終ラインは、1月の7試合で6度のクリーンシートを記録した。
その守備の安定感は大一番でこそ際立つ。初対戦でコンテ率いるナポリに1-2で敗れた後、ユベントスはローマとナポリにそれぞれ2-1、3-0で快勝。直接対決が順位を左右するリーグにおいて、この結果は確かな前進を示している。
コンテやアッレグリが常にタイトル争いの中心に身を置いてきたのに対し、スパレッティの歩みは「変革」の連続だった。その戦術的冒険心も含め、彼の功績はしばしば過小評価されてきた。
しかしユベントスは、監督を定義するクラブだ。コンテの無敗優勝、アッレグリのセリエA5連覇がその象徴である。今、スパレッティはキャリア最大の評価局面に立っている。
これまで幾度となく天井を打ち破ってきた指揮官にとって、トリノでは“上振れ”は称賛されない。求められるのはただ一つ、基準に到達することだ。



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